【レビュー】キングダムハーツ3
ナンバリングとしては久方ぶりに発表されたキングダムハーツ3。率直な意見としては"素晴らしい点は素晴らしいがそれと同じくらい気になる部分も見えてしまった"というところです。
もっと簡単に言えば"勿体無い"。
では何が良く何が気になったのか、「良かったところ」「気になったところ」を挙げてみます。
【良かったところ】
キングダムハーツ3の良かったところはただ"良い"ではなく"素晴らしい"と言っても過言ではありません。それが以下のようなところ、
・グラフィック
・各作品の再現度
・バトル
「グラフィック」
特筆すべきはやはりグラフィック。PS4というハードの性能をフルに活かしたグラフィックはもはや文句のつけようはありません。イベント中も実際にキャラクターを動かしている最中もどこまでも美しい。
ラプンツェルの世界では一面花畑のフィールドや、森を抜けた先にある大きな街なんかも綺麗でしたが、その辺の岩肌一つ取っても細部まで描き込まれているのが分かります。
「各作品の再現度」
そしてグラフィックの良さの恩恵を余すことなく受けているのは登場している各作品(ワールド)の再現度です。
ディズニー、ピクサー作品をそっくりそのまま再現しており、ソラなどのキャラクターが写らないシーンでは本編に限りなく近い空気感を感じることができています。(再現度に関してはあくまでもグラフィックの話、ここでは良い部分がある反面気になる部分も出てきています。それは後程)
「バトル」
バトルに関しては既にあったキングダムハーツの良い部分を継承しつつ新しい要素も盛り込んで、爽快で楽しいものに仕上がっていました。ゲームモードはスタンダードモードで遊びましたが、苦労したところはほとんどありません。
ただひたすら殴ることが楽しくあまり魔法を使うことはありませんでした。キーブレードも攻撃力の高いものばかり(名前は忘れたがパイレーツのやつ)を使っていたぐらいです。
キーブレードの変形も面白い要素。しかしいちいちアップで変形モーションを見せられるのは後々少し面倒になっていたりはしていました。
【気になったところ】
キングダムハーツ3の気になる点は実は1つや2つではありません。良かった点と同様に気になる点も以下にずらっと書き出してみました。
・キングダムハーツとしてのストーリーが難解
・各作品のストーリーが中途半端
・フィールドに面白みがない
・イベントシーンが多い
「キングダムハーツとしての難解なストーリー」
キングダムハーツ3のレビューとして最も挙げられているであろう問題。これは発売前から言われていたことでもあり、プレイした後にもほとんど解消されることはありません。ちなみに僕自身のキングダムハーツプレイ経歴は「1」「2」「チェイン・オブ・メモリーズ」「バース・バイ・スリープ」「3D」です。
これだけやっても分からない部分が多いのが事実。ストーリーが複雑に絡み合っているうえに今回の「ダークシーカー編」があまりにも長期的過ぎることによる"覚えていない"問題も挙がってしまうのです。
既にいろんなところで言われているのでストーリーがほとんど理解不能であることはもうここでは深くは言いません。
「中途半端な各作品のストーリー」
今作は始めてすぐは明確なソラ達の"旅の目的"というのがありません。「力を取り戻す方法を探す」という名目で各ワールドを巡りますが、行く先々では基本的にそのワールドの主人公達目線で話が進み、ソラ達はあくまでも"添え物"にしかすぎません。
各ワールドは全て原作があるのでストーリーは原作通りに進みますが、2時間近くある映画の話をそのまま持ってくるわけにもいかず、ぶつ切りでソラを交えてストーリーが展開。
そのストーリーも非常に中途半端で作品によっては「何がどうなってこうなっているのか」と思ってしまう人もいるのではないでしょうか。
「よく分からないからちゃんと原作を見てみよう」と映画へと促すためと考えればよくできた作品ではあるのですが。
「フィールドの中身とイベントシーン」
グラフィックも美しく、ストーリーは置いておいて世界観の再現度は素晴らしい。しかし実際にフィールドでキャラを動かしてみるとだだっ広いだけで何も無いのが分かります。おまけに今作はイベントシーンが非常に多く、少し走る→イベントシーン→敵とのバトル→イベントシーン、これが長々と続きます。
これが一番酷く感じたのはアナ雪のワールドです。山を登っては降り、また登っては降りるを繰り返し話が一向に進まない。キングダムハーツのオリジナルである機関もほとんどストーリーに絡んでこないので、ソラ達が何をやっているのかよく分からない状態です。
イベントシーンの長さ、多さもキングダムハーツ3を代表するレビューの1つ。ゲームをある程度進めるとどのタイミングでイベントシーンが入るかが何となく分かるので(新しいワールドに到着、もしくはワールドの終わり)そのタイミングで一度コントローラーを置いて"視聴"する姿勢に入るようになります。
注意してほしいのはその際にコントローラーを床やテーブルなど固い所に置かないように。シーンに合わせてコントローラーが震動するのでびっくりします。
【ダークシーカー編は一旦終了】
「ダークシーカー編完結」と長きに渡り続いたキングダムハーツシリーズも一旦の終わりを迎えるそうです。これまでのシリーズがダークシーカー編という名称であったことは今作で初めて知りましたが。とはいえ既にシークレットムービーが配信されており、続編の噂も絶えません。
いろいろと言われてはいますが人気シリーズなのでここで終ってしまうのは非常に勿体無く、ゲーム業界にとっても一大コンテンツとなっているのですんなりと手放すこともないはず。
僕自身今作で少々気になる点はあったものの、決して悪いとは思っていません。バトルの楽しさやグラフィックの良さ、気になる点もキングダムハーツらしいと言えばらしいのです。
ただしもしもキングダムハーツとして続けるのであればやはり少し内容や発表の仕方を考えるべきかもしれません。
【今後のキングダムハーツへの期待と願望】
今作で挙げられている問題を解消させる、これがまずは大きな期待と願望になるでしょう。キングダムハーツ3の代表とも言える「イベントシーンの多さ」そして「ストーリー」、このあたりを今一度考え直す時かもしれません。
「ダークシーカー編完結」となっているのでストーリーは大丈夫だと思いますが、いっそのこと新しい主人公を出してみてもいい気がします。
新しい主人公に探しに行かせるとかなんとか。(何を探すのかはクリアすれば分かります)
期待できる部分もたくさんあります。今作で少ないとも言われているワールドを一新するのです。まだまだディズニー・ピクサー作品はたくさんあるのでそれらのワールドの登場の機会があると思えば今からでもワクワクします。
しかもディズニーはアイアンマン、キャプテンアメリカ、アベンジャーズでお馴染みのマーベルを2009年に買収。2019年には映画、ドラマ界でもお馴染みの20世紀フォックスの買収も発表しています。
つまり、そういうことです。まだまだ夢の競演が見られるかもしれないのです。続ければ続けるほどキングダムハーツとしてのハードルは上がるかもしれませんが、それだけいろいろな遊びができるということ。
そうなるとキングダムハーツシリーズを追いかけないわけにはいきません。
【総評】
グラフィックや各作品の再現度は高くバトルも爽快感と派手さがマッチしていて楽しくなっている。もはやワールドの空気感は最高。しかしキングダムハーツとして、また各作品のストーリーとしては難解であり魅力が感じられない。イベントシーンの量がプレイの邪魔になることもあった。
60/100